
平均年収が高く、ステータスの高い仕事として知られる商社。
商社からの転職では、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
商社におすすめの職種も交えて紹介します。
目次
待遇の良い商社からでも転職を考える人がいる
商社は年収が1000万円をこえることの多いハイクラスの職種です。
しかし、待遇の良さに反して激務が多く、体力的にも厳しいことでも知られているでしょう。
海外勤務も多いことから、ライフプランが立てづらいのもデメリットの1つです。
さらに、希望の部署に配属されなかった場合にはやりがいが感じられないこともあります。
これらの理由から、どれだけたくさんの給与が保証されていても商社からの転職を考える人がいるのです。
では、商社からはどのような職種へと転職できるのでしょうか。
商社からの転職事情などを詳しく紹介しましょう。
商社からの転職事情
転職では前職でどのような仕事をしていたのかが評価されるケースが多くみられます。
商社からの転職は応募先の企業にどのような印象を与えるのでしょうか。
まずは、商社の転職事情から紹介していきます。
- 1.総合商社での経験は専門性に乏しいと判断される
- 2.総合商社からの転職は若いうちの方が良い
- 3.転職後の年収は下がる場合が多い
1.総合商社での経験は専門性に乏しいと判断される
商社勤務という経験は、激務をこなしている印象が強いため応募先の企業から評価されやすいと感じる人も多いでしょう。
しかし、商社からの転職は難易度が高いといえます。
なぜなら、商社は専門性が低く、他の企業で活躍できるスキルがあると判断されにくいからです。
もちろん、論理的思考力や情報処理能力、語学力などのスキルが極めて高い人がほとんどでしょう。
ただ、各事業ごとに営業をするという商社のスタイルでは、ほかの業界でも活かせるほどの専門的なスキルが身につきにくいといえます。
そのため、専門性を求められる企業への転職は難しいのです。
2.総合商社からの転職は若いうちの方が良い
商社は入社してから急激に成長をする働き方ではないため、年齢を重ねてもそれほど高いスキルを持ち合わせていないと考えられてしまうことが多いものです。
下積み期間が長い職種ですので、ある程度年齢を重ねていても、他の企業で活躍できる人材とはいい切れません。
企業でも年齢が若く、これからでも育成が可能な応募者を採用する傾向があるでしょう。
したがって、商社からの転職は若いうちが成功しやすいといえます。
3.転職後の年収は下がる場合が多い
年収が極めて高い商社から転職をすると、年収が下がってしまう可能性が高いでしょう。
200~300万円も年収が下がることはめずらしくなく、年収を下げてまで転職を考える人は少ないものです。
したがって、転職が決断できないという人もみられます。
また、商社と同程度の年収は保証できないという企業も多いことから、年収が高い商社勤務の転職希望者を避けるケースも少なくありません。
これまでの年収が商社からの転職ではネックになることがあるため、注意が必要です。
商社から転職するメリット
転職への難易度が高い商社からの転職ですが、メリットも十分に期待できます。
商社から転職すると次のようなメリットが期待できるでしょう。
- メリット1:交渉力や語学力を活かせる仕事を選べる
- メリット2:仕事量の少ない仕事を選べる
- メリット3:転勤や移動の少ない仕事を選べる
メリット1:交渉力や語学力を活かせる仕事を選べる
商社での仕事は、クライアントだけでなく社内での交渉も多いでしょう。
交渉し調整することを得意としていますので、交渉力を活かした転職が可能です。
また、グローバルな活躍をする商社では当たり前のように使用している語学力が高く評価されることもあります。
転職では交渉力と語学力が強みになることが多く、ライバルにも差をつけられるのがメリットです。
メリット2:仕事量の少ない仕事を選べる
商社は非常に仕事量が多いため、激務を強いられることが多いでしょう。
商社からの転職では、仕事量が少ない仕事が選べるようになり、体力的な回復も期待できます。
仕事だけでなくプライベートも充実させられますので、毎日が楽しくなると感じる人も多いでしょう。
メリット3:転勤や移動の少ない仕事を選べる
商社から転職をするときには、転勤や移動が少ない企業を選べるのもポイントです。
これまで、転勤が多くライフプランが立てにくいと感じていた人でも、将来的なプランを考えられるようになるでしょう。
また、社内での移動も少なくなることで、新しい部署での仕事を覚える必要がなくなります。
商社から転職をすると、落ち着いて働けるといった声も多く、思い通りの人生設計が可能です。
商社から転職する2つのデメリット
商社からの転職では、デメリットもあります。
デメリットを知ることで、転職をした後に後悔することがなくなるでしょう。
商社からの転職のデメリットは次の2つです。
- デメリット1:年収が下がる場合が多い
- デメリット2:転職先で仕事の悩みにぶつかることもある
デメリット1:年収が下がる場合が多い
商社では年収が1000万円をこえることがめずらしくなく、将来的にも安定した雇用が期待できるでしょう。
しかし、商社から転職をすることで年収が大幅にダウンする可能性が高いといえます。
やりがいを求めた転職であっても、これまでと同じ生活はできないことを覚悟しなければなりません。
デメリット2:転職先で仕事の悩みにぶつかることもある
商社では下積み期間が長いことから、若いうちは希望通りの仕事を任せてもらえないこともあるでしょう。
仕事へのやりがいを求めて転職を考える人も多くみられますが、ほかの企業でもすべての仕事にやりがいがあるとはいい切れません。
華やかに見える職業でも、裏で地味な仕事をコツコツとこなしているのです。
自由な働き方ができるベンチャー企業であっても、本業以外の仕事に取組まなければならないこともあるでしょう。
このように、商社から転職をすると仕事に置ける理想と現実のギャップを抱えることがあります。
仕事の悩みにぶつかることも多いため、転職に期待しすぎないことも大切です。
商社からのおすすめの転職先4選
商社からの転職に向いている転職先はいくつかあります。
これまでの経験が活かせる仕事であれば、やりがいを感じながら働けるでしょう。
商社からの転職にぴったりの転職先は次の通りです。
- 商社からの転職先1:PEファンド
- 商社からの転職先2:コンサルティングファーム
- 商社からの転職先3:大手事業会社/メーカー
- 商社からの転職先4:ベンチャー企業
商社からの転職先1:PEファンド
商社からの転職でおすすめなのはPEファンドです。
商社でも、投資事業は行われており、投資を担当していた場合には、PEファンドへと転職しやすくなります。
商社からPEファンドへと転職する人は多く、面接へと呼ばれる可能性も高いでしょう。
PEファンドはすべての人に転職のチャンスがある業界ではないため、応募できる権利を得ているだけでも商社からの転職に向いているといえます。
商社からの転職先2:コンサルティングファーム
商社から人気の転職先には、コンサルティングファームもあります。
商社や出向先の子会社ではコンサルを活用していることがほとんどで、コンサルと一緒に働いたことがある人も多いでしょう。
コンサルティングファームの仕事を理解しているため、転職をしても仕事内容のギャップを感じることなく働けるのが魅力です。
外国語が堪能な場合には、トップの戦略ファームへの転職も可能でしょう。
商社からの転職先3:大手事業会社/メーカー
商社からの転職では、大手事業会社やメーカーもおすすめです。
英語が堪能な人や、海外勤務の経験がある場合には、外資系の大手事業会社の立ち上げメンバーとして参加する方法もあります。
立ち上げ時のアライアンスや法律などの対応は、商社マンが得意としている仕事のため、重宝されるといえるでしょう。
また、メーカーでモノづくりに関わるのも1つの方法です。
中小メーカーであれば幹部ポジションでの転職も可能なことから、キャリアアップも目指せるでしょう。
商社からの転職先4:ベンチャー企業
新しい分野にチャレンジし、いきいきと仕事がしたいという人はベンチャー企業への転職も向いています。
商社からベンチャー企業へと転職する人も増え、若い商社マンからの人気の転職先だといえるでしょう。
商社マンは優秀なイメージも強いことから、チャレンジ精神の高いベンチャー企業から積極的に採用される傾向もあります。
人手不足のベンチャー企業も多く、転職が成功しやすい業界でしょう。
ただし、商社とベンチャー企業では働き方が大きく異なるため、事前の下調べも重要です。
商社からの2つの転職体験記
実際に商社から転職をした人は、どのような経緯で転職を決めたのでしょうか。
また、どのような転職活動であったのかが気になる人もいるでしょう。
転職後に感じたことなどもあれば知っておきたいですよね。
そこで、実際に商社から転職を果たした人の体験記紹介します。
- 転職体験記1:商社営業職→メーカー営業職
- 転職体験記2:商社一般職→外資系コンサル経理職
転職体験記1:商社営業職→メーカー営業職
私が商社からメーカーの営業職へと転職した理由は、商社で得た営業技術をより専門性の高いものへとスキルアップさせたいと考えたからです。
商社での仕事を通じて商材を深く学ぶことの素晴らしさに気付き、メーカーで製品の細かい点まで説明できる営業マンになりたいという気持ちが強くなりました。
商社で自ら勉強をして技術的な知識を得るという経験は、メーカーの営業でも活かされていると感じています。
また、メーカーでは外国の顧客も担当をすることから、世界を相手に仕事ができるようになったことも喜びの1つです。
外国の顧客への価格交渉は非常に厳しく、難しい局面も多くみられます。
そんなときでも、商社の営業の経験が役に立ち、利益率を上げられる営業マンとして活躍できているのです。
商社での勤務時には国内での営業のみを行っていたため、英語力を活かした仕事ができることにも満足しています。
商社からの転職によって年収下がりましたが、自分の目指す営業ができるようになり、充実した毎日です。
転職体験記2:商社一般職→外資系コンサル経理職
私は商社で4年ほど働いた後に外資系コンサルの経理部へと転職しました。
平均的な女性の年収をはるかにこえる年収を手にしていたため、入社して間もないころには充実感でいっぱいでした。
商社に入社した理由は、年収の高い商社で結婚相手を見つけ、安定した暮らしを手に入れたかったからです。
しかし、仕事を続けているともっと仕事をしたいという気持ちが沸き起こり、商社での退屈な仕事には満足できなくなりました。
そこで、年収の高い商社から外資系コンサルの経理部へと転職したのです。
外資系コンサルの経理部では、短い期間でも成長できる環境が整えられています。
自分の実力が評価されることから、仕事にもやりがいが感じられるようになりました。
20代のうちに転職をしたからこそ手に入れた仕事だと思います。
転職を先延ばしにして後悔しないよう、転職を考えるのであれば、思い切って飛び込んでみるのも1つの方法です。
商社からの転職は年収が下がることもよく考えて活動しよう
商社からの転職は、それほど簡単ではありません。
また、転職によって年収が下がってしまうことも知っておく必要があります。
しかしながら、転職によって仕事にやりがいを感じ、充実したワークライフを過ごしている人もいるのです。
商社からの転職活動は、メリットやデメリットをよく考えてから始めるのが良いでしょう。