
国家公務員として日本の安全を守る自衛隊。国のために危険を伴いながらも尽力する自衛隊に憧れ、転職考える人もいるでしょう。
ただ、気になるのが自衛隊の給料です。
そこで、自衛隊の給料について年齢や種類ごとに調査してみました。
目次
自衛隊の給料について知りたい!
自衛隊は国家公務員の1つですので、安定した仕事に就けるでしょう。
体を張って国を守る仕事のため、高い給料を期待する人も珍しくありません。
しかし、実際にはどのくらいの給料がもらえるのでしょうか。
自衛隊の給料・年収とは?
自衛隊の給料はどのように決められているのでしょうか。まずは、自衛隊の給料や年収の仕組みについて次の2点をもとに解説します。
- 自衛隊の給料は国家公務員法で定められている
- 自衛隊の給料を決めるのは「階級」と「号棒」
自衛隊の給料は国家公務員法で定められている
自衛隊は国家公務員の1つですので、給料の額は国家公務員法に定められた俸給表によって定められています。
ただし、自衛隊の場合には一般の国家公務員に適用される俸給表とは異なり、自衛官俸給表が使われるのが特徴でしょう。
自衛隊の給料を決めるのは「階級」と「号棒」
自衛隊の給料は、自衛官俸給表をもとに階級と号棒によって決められています。
階級は自衛隊における役職のようなものであり、昇進するごとに階級が上がる仕組みです。「士」の階級から始まり、「曹」「尉官」「佐官」へと進み、最後に「将官」へと上がります。
また、同じ階級であっても1等や2等と細かく分けられているのが特徴でしょう。士の階級であれば勤続年数で自動的に昇格が可能です。
しかし、曹以上の階級を目指す場合には昇任試験に合格する必要があります。晴れて合格すると給料も高くなりますので挑戦してみるのがおすすめです。
号棒は勤続年数や仕事への評価を表したもので、職務等級をイメージすると分かりやすいでしょう。表記は1号、2号となり、数が多くなるごとに高く評価されているといえます。
年に4号づつ上がるとされていますが、仕事が評価されると6号上がるケースもめずらしくありません。一方、評価が低くなると年に3号しか上がらないこともあるのです。
自衛隊の職種別・階級別の年収は?
自衛隊の給料は職種や階級別に異なります。
ここからは自衛隊の職種と階級ごとの給料を詳しくみていきましょう。
- 職種別の自衛隊の給料
- 階級別の自衛隊の給料
職種別の自衛隊の給料
自衛隊は260もの勤務地を抱える巨大な組織です。その中にはいくつもの職種が存在しているといえるでしょう。最新装備を扱って国を守る職種だけでなく、研究や開発などを行う職種もあります。
ただ、一般的な自衛隊として知られているのは陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の3つでしょう。この3つは転職先としても人気の職種ですので、こちらの3つの職種の年収をみていきます。
まず、陸上自衛隊の平均年収は300万~1000万円以上です。先ほどから説明している通り、階級や号給によって年収には幅がみられます。
航海士と呼ばれる海上自衛隊の年収は陸上自衛隊よりも高く、330万~1000万円以上でしょう。パイロットとして働く航空自衛隊では490万~1000万円以上と高い年収が期待できます。
階級別の自衛隊の給料
自衛隊で最も低い階級は士です。士の給料は約16万~24万円であり、曹になると約22万~42万円なります。
尉官にあがると給料は約23万~44万円に上がり、佐官になると約31万~49万円の給料が期待できるのです。
最も高い階級となる将官は約51万~117万円ですので、高い給料を手にするのも夢ではありません。
自衛隊の年齢別の給料は?
自衛隊の年齢別の給料は次の通りです。
年齢 | 年収 | 月額給料 |
20~24歳 | 288万円 | 20万円 |
25~29歳 | 444万円 | 31万円 |
30~34歳 | 467万円 | 35万円 |
35~39歳 | 483万円 | 37万円 |
40~44歳 | 538万円 | 41万円 |
45~49歳 | 616万円 | 46万円 |
50~54歳 | 681万円 | 49万円 |
55~59歳 | 674万円 | 49万円 |
60~65歳 | 434万円 | 33万円 |
自衛隊では年功序列で給料が高くなる仕組みが採用されています。
20代の頃は月額給料が20~35万円ですが、40代になると41万~46万円と2倍近くになるでしょう。
したがって、長く勤めることで高い給料が期待できます。
自衛隊の男女別の給料は?
男女別に比較すると自衛隊の給料はどのように違うのでしょうか。
男女の年収の違いを表にまとめてみました。
性別 | 年収中央値 |
男女計 | 486万円 |
男性 | 541万円 |
女性 | 432万円 |
自衛隊の年収は男性と女性で100万円程度の差がみられます。女性の給料は男性よりも低くなることが多いでしょう。
女性の自衛官は結婚や子育てでキャリアを離れるケースが多く、等級が上がりづらいのが理由です。
しかし、自衛隊では子育て中の女性でも働きやすいよう、フレックスタイム制の導入などを行っています。
女性の自衛官を増やす取り組みも盛んですので、女性にも高い給料を手にするチャンスがあるでしょう。
自衛隊の初任給
自衛隊に入隊する際には、自衛官候補生、一般曹候補生、幹部候補生のいずれかの入隊区分を選びます。なかでも、幹部候補生は大卒か大学院卒かの区分に分けられているのです。
初任給は、この入隊区分によって差が見られるのが特徴でしょう。
それぞれの初任給を紹介すると、任期制となる自衛官候補生の初任給は14万2100円です。一般曹候補生は高卒の場合で17万9200円、大卒では19万8100円と決められています。
幹部候補生になると大卒で22万6500円、大学院卒は24万7500円です。
幹部候補生は将来的な活躍が期待できる重要な人材として扱われていることから、初任給から高い給料が支払われています。
自衛隊の初任給の給料は2020年度7月に引きあげられたばかりですので、このチャンスに転職を考えるのも良いかもしれません。
自衛隊の福利厚生や手当は手厚い
一般的な国家公務員の手当てに期末・勤勉手当と呼ばれるボーナスや扶養手当、夜勤手当などがあるでしょう。単身赴任の場合には単身赴任手当も支給されています。
したがって、国家公務員となる自衛隊で働くとこれらの手当が期待できるでしょう。それだけでなく、一般的な国家公務員よりも手当が充実しているといえます。
自衛隊は命をかけて国を守るという使命を背負った仕事であるため、常に危険とは隣り合わせだといえるでしょう。そのため、特別な手当が支給されるケースが多いのです。
例をあげると、パイロットの場合には飛行した際に航空手当が付きます。落下傘での降下を行った場合には落下隊員手当が付与されるでしょう。
航空手当ては基本給の○割と決められており、航空機の種類ごとに違いがあります。危険を伴う可能性が高い戦闘機のパイロットの場合には基本給の8割もの手当が付与されることもあり、年収を大幅に高めることができるでしょう。
さらに、自然災害などが起こり被災地に派遣された場合には、災害派遣等手当てが支給されていますので、基本給にプラスされる金額が高くなるのです。
そのほか、一定の年齢や階級に達するまでは駐屯地や基地内の寮での団体生活が基本とされています。寮では衣食住に対する手厚いサポートが受けられることから、基本的な生活にお金がかかりにくいでしょう。
防衛省共済組合による貯金や貸付事業も充実しているのが特徴で、組合施設となるホテルやテニスコートなどの利用も可能です。各種保険や年金も完備していますので、将来的な安定も見込めます。
自衛隊の給料には残業代がなく定年が早い
年功序列で給料が上がり、充実した福利厚生も期待できる自衛隊ですが、転職の際には次の2点に気を付けなければいけません。
- 自衛隊には残業代が付かない
- 階級が低いと定年が早い
自衛隊には残業代が付かない
自衛隊には手当が充実しているものの、残業代は支給されません。自衛隊では、国を守るための訓練が昼夜を問わず行われることがあり、災害時に被災地に派遣されることも珍しくないでしょう。
したがって、労働時間の管理が難しく、基本給に一定の残業代が含まれたスタイルが採用されているのです。
階級が低いと定年が早い
一般的な企業で働くと、60歳または65歳で定年を迎えるでしょう。60歳という年齢は体力的にも余裕があり、現役としてまだ十分に働けると感じる人が多いものです。
しかし、自衛隊で階級が挙げられない場合には驚くほど速く定年を迎えてしまいます。
自衛隊で最も早い定年は3等曹と2等曹の52歳です。一般的な企業では働き盛りと言われる年齢での定年であり、この年齢からの再就職は難しいともいえるでしょう。
定年後の生活をどうするかは非常に重要なポイントとなりますので、定年後を見据えて自衛隊に入隊するのをおすすめします。
ただし、自衛隊の中でも将補以上の幹部にまで昇級した場合には60歳が定年です。将補以上になるには昇級試験を突破しなければなりませんが、給料も高くなることから、挑戦してみるのも1つの方法でしょう。
また、2020年以降には階級に応じて定年の年齢の引き上げが検討されていますので、将来的には長く働ける可能性も高いといえます。
自衛隊は学生でも給料が出る?
初任給が高く、将来的にも期待できる幹部候補生として入隊するには、防衛大学を出て幹部候補生になる方法があります。
一般の大学に通っていても20歳以上であれば幹部候補生になるための試験が受けられますが、自衛隊が運営する学校に入ると無料で自衛官になる勉強ができます。
さらに、陸上自衛隊高等工科学校は9万円、防衛大学では11万円といった給料ももらえるのです。学生でありながらも国家公務員として扱われますのでボーナスも支給されるのが魅力でしょう。
自衛隊の学校に入学すると寮での集団生活が基本であり、家賃や食費なども必要ありません。病気になり治療が必要となった場合でも、自衛隊の病院を無料で利用できますのでお金の心配をせずに勉強ができるのです。
防衛大学では一般的な教育課程をこなしながら厳しい訓練を受けるため、一般的な大学生と比べると忙しい毎日を送ることになるでしょう。しかしながら、無事に卒業すると幹部候補生として将来的に活躍できるようになるのです。
学生にも給料が出ることで、家庭の事情などで一般的な大学に進学ができない人であっても、エリート自衛官になれるチャンスが待っています。
自衛隊の給料は職種や階級によって差がつく
自衛隊の給料は入隊区分や職種、階級によって差が出ます。ただし、年功序列で給料が高くなりますので、長く働くと満足のいく給料が得られるでしょう。
また、危険を伴う任務が多い自衛隊では給料のほかにたくさんの手当が支給されています。そのため、基本給の金額以上の給料を手にすることが可能です。
しかし、残業代がつかず定年が早いなどデメリットもあるため注意するのが良いでしょう。
しかしながら、国を守る重要な仕事でありやりがいも十分に得られますので自衛隊へと転職し、充実した毎日を送ってみてはいかがでしょうか。