
塾は学校の教育を補足するだけでなく、学校では実現できないこともかなえられる場です。
そういった教育現場に憧れて塾講師になっても、実際の仕事内容にはギャップがあるため転職を考える人もいるでしょう。
ただ、塾講師からの転職はスムーズなのでしょうか。
この記事では、塾講師の転職について紹介します。
目次
塾講師からの転職について知りたい!
塾講師を辞めたくても、どのような業界や職種に転職していいのか分からない人もいるでしょう。
塾講師は一般的な会社員とは異なることから、異業種への転職は難しいと考える人もみられます。
しかし、これまでの経験やスキルを活かすと、塾講師からの転職も可能です。
そこで、塾講師が転職で活かせる経験やスキルを、塾講師の仕事内容と照らし合わせて紹介していきます。
塾講師からの転職の際には参考にしてください。
塾講師の大変な4つの就労事情
塾講師からの転職について説明する前に、塾講師が転職を希望する理由を考えていきましょう。
塾講師の仕事では次のような不満が挙げられます。
- 夜型・長時間・休みが自由に取れない
- 報酬がなかなか上がらない
- 授業で以外の勧誘・ノルマできつい
- 離職率が高く業務範囲も広い
夜型・長時間・休みが自由に取れない
塾講師として正社員で働くと、拘束時間が長くなることが多いでしょう。
塾は学校が終わる時間から始まりますが、塾講師はそれよりも前に出勤し準備をしなければなりません。
また、授業が夜遅くまで続くことから帰りが遅くなります。
さらに、夏休みには夏期講習、冬休みは冬期講習が設けられ、午前中から出勤することもあるのです。
お盆やお正月も働くケースはめずらしくなく、プライベートな時間を作れないと感じる人も多くみられます。
報酬がなかなか上がらない
塾講師として働くと長時間勤務のハードワークを強いられます。
しかし、それだけの仕事量であっても、報酬はそれほど高くありません。
塾講師の年収は400~500万円程度が一般的で、勤続年数が増えても報酬が大きく上がることがないのです。
また、なかには「みなし(固定)残業制」を採用している塾もあるでしょう。
この場合には残業代も発生しませんので、割に合わないと感じる人も多いといえます。
若いうちは良くても、結婚し家庭を持ったときには生活ができないため、転職を決意する人もめずらしくありません。
授業で以外の勧誘・ノルマできつい
塾講師の仕事は塾での授業だけではありません。
塾は生徒数が増えないことには経営が成り立たないことから、新しい生徒の獲得に向け、講師に厳しいノルマを課すことがあります。
子どもたちに勉強を教えたいと考えて塾講師になったにもかかわらず、強引な勧誘をしなければならないこともあるでしょう。
既存の生徒にも夏期講習や冬期講習などの勧誘が必要となることから、生徒や保護者とトラブルになるケースもみられます。
本来の希望とは異なる仕事も課せられることから、ストレスを感じてしまう人もいるのです。
離職率が高く業務範囲も広い
塾講師は非常に入れ替わりの多い仕事です。
勤務時間の長さに対して薄給であり、厳しいノルマも課せられるため、子どもたちに勉強を教えたいという気持ちだけで就職した場合には、続けられないことが多いでしょう。
また、辞めるときにもしっかりと引継ぎが行われないケースがほとんどです。
新人教育にそれほど力を入れていない塾も多いことから、社内体制が整備されていないといえるでしょう。
塾講師にとって働きづらい職場環境のため、転職を希望する人が後を絶ちません。
塾講師からの転職が難しい3つの理由
教育現場に憧れて塾講師になっても、その働きづらさから転職を考える人は多いものです。
しかし、塾講師からの転職は応募先の企業に良い印象を与えないことから、転職しづらい職業だといえるでしょう。
なぜ、塾講師は転職市場で高く評価されないのでしょうか。
ここからは、塾講師からの転職が難しい理由を説明します。
- ビジネススキルが無いと見られる
- 社会経験不足と見られる
- 教育者・上の立場の人という印象を持たれる
ビジネススキルが無いと見られる
塾講師は生徒に勉強を教えることがメイン業務のため、一般的なビジネススキルが身についてないと考えられることが多いでしょう。
顧客への電話のかけ方や取引先への対応ができないと感じられるケースもめずらしくなく、塾講師から異業種への転職は難しいと感じられてしまいます。
見積書やお金を扱う仕事でもないため、一般的な経理や営業の仕事には向いてないと判断されることも多いでしょう。
教育現場とビジネスシーンでは働くスタイルが大きく違うといった見解から、塾講師からの転職は難しくなるのです。
社会経験不足と見られる
塾講師は生徒に勉強を教えるスキルが身に付く仕事です。
しかし、一般的な企業では塾講師のスキルは役に立たないと考えられることが多いでしょう。
また、生徒や保護者を対応することはあっても、一般的な顧客を相手にすることがありません。
これらの理由から、社会経験が少ないと判断されてしまうのです。
若いうちの転職であれば、社会経験の少なさを年齢でカバーできるでしょう。
しかしながら、30歳を過ぎて塾講師から転職をすると、使えない人材として扱われてしまうこともあります。
したがって、塾講師からの転職はできるだけ若いうちに決断するのが良いでしょう。
教育者・上の立場の人という印象を持たれる
生徒に勉強を教える教育者として働いてきた塾講師は、上の立場から物を見る人物だと判断されてしまうことがあります。
塾から塾へと転職する場合には問題ありませんが、異業種への転職では未経験の立場です。
そんなときに教育者として振る舞うと、上司からいい顔をされません。
自分にはそのようなつもりはなくとも、塾講師であったという経験から相手に教育者としての印象を与えてしまう可能性もあります。
したがって、塾講師からの転職は、極めて謙虚な姿勢を保つことが大切です。
塾講師からの転職で強みとなる4つのスキル・経験
ネガティブな印象を抱かれてしまいがちな塾講師からの転職ですが、活かせるメリットも十分にあります。
塾講師ならではの魅力を活かし、それらを面接でしっかりとアピールすることで転職が成功へと近づくでしょう。
塾講師が転職で活かせるスキルは次の4つです。
- コミュニケーション能力
- コーチングスキル
- チームワーク
- 粘り強さ・忍耐力
コミュニケーション能力
塾講師は、生徒と日常的にコミュニケーションを取ることで信頼関係を築いています。
生徒とのコミュニケーションのなかで勉強する楽しさを教え、モチベーションを引き出すこともあるでしょう。
また、月謝を払う保護者とも良い関係を築く必要があります。
保護者から理不尽な要求を突き付けられることも多く、クレームにもうまく対応していかなければなりません。
さらに、塾長などの上司ともバランスを取りながら仕事を進めているのです。
したがって、高いコミュニケーション能力が求められる仕事だといえるでしょう。
こうした塾講師のコミュニケーション能力は、転職でのアピールポイントの1つとなります。
コーチングスキル
塾講師をしていると、コーチングスキルが身に付きます。
コーチングは、単に問題の解き方を教えるのではありません。
生徒それぞれの強みを理解し、生徒のなかにある答えを引き出します。
会社員として働いていると部下に指導をすることがあるでしょう。
管理職にもなると、チーム全体を引っ張らなくてはなりません。
そんなときに活かせるのが塾講師で培ったコーチングスキルだといえるのです。
塾講師のコーチングスキルは転職市場でも高く評価されていますので、転職ではしっかりとアピールするのが良いでしょう。
チームワーク
塾講師はそれぞれに受け持つ科目があるケースが多く、ほかの科目の講師とコミュニケーションをとって仕事を進めています。
生徒の情報を供給したり、教え方をアドバイスし合ったりと、チームワークが求められる職場です。
塾講師にもさまざまな性格を持った人がいるため、人間関係が複雑になることもあります。
そんななかでもうまく立ち回り、よりよいチームワークを築いてきたことが示せると、転職でも評価されやすいでしょう。
チームワークが求められる仕事はたくさんありますので、積極的に自己PRに織り交ぜておくべきポイントです。
粘り強さ・忍耐力
塾講師として生徒に勉強を教えるには忍耐力が必要です。
生徒の成績が上がったり、自分が教えたことが理解されたりするまでには時間がかかります。
すぐに結果が出なくとも、粘り強く努力し続けることで問題が解決することもあるでしょう。
粘り強さや忍耐力のある人材を求める企業は多いものです。
生徒とどのように関わり、忍耐強く努力したことでどのような結果が出せたのかといった具体的なエピソードを織り交ぜてアピールすると、転職へとつながりやすくなります。
塾講師からの転職でおすすめの職種4選
塾講師からの転職は難しいといえますが、向いている職業もあります。
これらの職業であれば転職が成功する可能性が高いため、チャレンジしてみるのがよいでしょう。
- 教育関連
- 営業職
- 事務職
- 人材紹介
教育関連
塾講師の経験は教育関連の仕事に活かせます。
教育関連であれば、まったくの異業種ではないため、転職しやすいといえるでしょう。
同じ教育関連での仕事でありながら一般的な会社員と同じ勤務時間で働けることから、プライベートの時間も確保しやすくなります。
塾講師の経験が活かせ、働きやすさも向上する転職先の1つです。
営業職
塾講師としてのコミュニケーション能力を活かした転職を求めるのであれば、営業職が良いでしょう。
営業職は、お客さまとの信頼関係が非常に重要な仕事ですので、これまで生徒や保護者の信頼を勝ち取り、指導に活かしてきた塾講師にはぴったりだといえます。
また、営業職は未経験からの採用も多いため、転職しやすいのも魅力です。
営業職にもさまざまな分野がありますので、転職先の選択肢が広がりやすくなります。
事務職
塾講師の厳しい勤務時間に不満があるという人は、事務職を選ぶのも1つの方法です。
事務職は残業が少なく土日も休めるケースが多いため、塾での仕事と比べると働きやすさが向上するでしょう。
ExcelやWordといったパソコンのスキルが求められますが、簡単な操作ができれば良いといった企業も少なくありません。
未経験からの採用も多いため、事務職であれば転職が成功しやすいでしょう。
人材紹介
塾講師のスキルの1つであるコーチングスキルを活かしたい場合には、人材紹介会社を選びましょう。
人材派遣会社のコンサルタントは、企業の求人に対し求職者をマッチさせる仕事です。
双方が納得のいくマッチングを生み出すためには、それぞれの意見を聞き、最適な方法を提案する必要があるでしょう。
そこで活躍するのが塾講師のコーチングスキルです。
また、コンサルタントには高いコミュニケーション能力も求められます。
塾講師の能力が最大限に発揮できる職業ですので、チャレンジしてみるのがおすすめです。
塾講師ならではの強みを知り難しいと言われる転職を成功させよう
塾講師からの転職は、その特殊な仕事の性質から難しいといわれています。
しかし、塾講師として身につけたスキルを上手にアピールすると、転職を成功させられるでしょう。
塾講師のスキルが活かせる職業もいくつかありますので、今回紹介したコツを参考に、自分に適した仕事を手に入れてください。