
求人に応募する際、転職エージェント経由と直接応募のどちらが有利になるかで悩む人は多いでしょう。
選考でどちらかが有利になるということはありませんが、それぞれメリット・デメリットがあります。メリットを活かした転職活動をすることが大切です。
目次
転職エージェント経由と直接応募にはそれぞれメリットがある
転職活動をするにあたって、直接応募する場合と転職エージェント経由で応募する場合とで、どちらが有利になるのか気になる方は多いでしょう。
転職先を早く決めるためにも、できるだけ有利になる方法をとりたいものです。
実は、転職エージェント経由も直接応募も、それぞれに良い点と悪い点とがあります。
そのため、よく考慮して応募方法を選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれのメリットとデメリットや、どちらが内定をとりやすいかについて詳しく紹介します。
転職エージェント経由と直接応募ではどちらが内定をとりやすい?
転職エージェント経由で人材を採用した企業は、エージェントに紹介料を払う必要があります。
企業によって異なりますが、一般に採用した人材の年収の30%程度といわれています。
仮に年収500万であれば、150万円ほどの紹介料を払わなければなりません。
そのためか、「企業に紹介料支払いの負担がかかるため、転職エージェント経由の応募は採用で不利になる」といわれることがありますが、これは間違いです。
企業は転職エージェント経由でも直接応募でも同じ基準で選考します。
どちらが有利・不利になることはありません。
そもそも、紹介料の支払いは最初から承知していることです。
払うのがいやで選考基準を厳しくするくらいなら、転職エージェントに人材の紹介を依頼したりしないでしょう。
とはいえ、転職エージェントを利用すると選考を勝ち抜くためのさまざまなアドバイスが得られます。
その意味では、直接応募より内定が得やすいとはいえるでしょう。
転職エージェント経由の3つのメリット
転職エージェントの利用にはいくつものメリットがあります。
ここでは、どのようなメリットがあるかを具体的に3つ紹介しましょう。
- 第三者の目で自分を見直すことができる
- 企業とのやり取りをエージェントが代行してくれる
- エージェントのみに公開されている求人に応募できる
第三者の目で自分を見直すことができる
転職エージェントを利用する大きなメリットの1つに、担当のコンサルタントがついて客観的な視点からアドバイスが得られる点が挙げられます。
通常、転職エージェントに登録して最初に行われるのは、担当コンサルタントとのキャリアカウンセリングです。
カウンセリングでは、これまでの経験やスキルをヒアリングして強みやアピールポイントを掘り下げたり、将来のキャリアプランニングを行ったりします。
自分では気づかなかった自身の強みや適性に気づくことも多いです。
内定を得るためには、面接の際に企業に自分自身をうまくプレゼンしなければなりません。
転職エージェントで相談すれば自分自身を客観的に見直せるため、面接でうまくアピールできる可能性が高くなり、結果的に内定獲得率を上げることにつながります。
企業とのやり取りをエージェントが代行してくれる
転職エージェントに登録すると、案件の紹介から気になる求人への応募、面接日程の調整まで担当のコンサルタントが代行します。
コンサルタントに任せられるため、仕事をしながらの転職活動でも企業とのやりとりに時間をとられることがありません。
また、より良い条件で転職できるように、コンサルタントが応募企業に対して年収や休日などの待遇に関する交渉も行います。
そのため、満足のいく条件で転職できるケースが多いです。
エージェントのみに公開されている求人に応募できる
転職エージェントは、サイトで検索すれば誰でも閲覧できる公開求人のほかに非公開求人も保有しています。
これは、一般に公開していない求人です。
エージェントに登録し、担当コンサルタントからの紹介があって初めて内容を知ることができます。
企業が求人内容を非公開にする主な理由は次の2つです。
- 非常に好条件の求人で、公開すると応募が殺到する恐れがあるから
- 極秘プロジェクトに必要な人材や管理職などの重要ポストの求人で、競合他社に採用活動をしていることを知られたくないから
つまり、好待遇でやりがいのある仕事の求人であるケースが多いのです。
非公開求人に応募できることは転職エージェントを利用する大きなメリットといえるでしょう。
転職エージェント経由の3つのデメリット
メリットの多い転職エージェントですが、デメリットもいくつかあります。
登録する際は、どのようなデメリットがあるかについても理解しておきましょう。
- 担当者の質にバラツキがある
- 興味がない求人を勧められることがある
- エージェント経由での求人を行っていない企業がある
担当者の質にバラツキがある
転職エージェントに登録すると担当者がつき、内定を得るまでサポートを受けられます。
残念ながら、この担当者の質は一定ではありません。
業界動向や知識に詳しく提案力も高く熱心にサポートする良質な担当者もいれば、適当な案件を紹介するだけの質の悪い担当者もいるのが実情です。
良い担当者にあたれば非常に頼りになり、内定の獲得に近づきます。
しかし、悪い担当者にあたってしまうと、役に立たないどころか時間ばかり使わされ足手まといになりかねません。
「この担当者とは合わない」「この人に任せてもムダ」と感じたら、転職エージェントに担当者を変えるよう相談するのがおすすめです。
担当者替えをお願いするときは、「コンサルタントの○○様以外からもさらに詳しくお話を伺いたいので、別の方をご紹介いただくことは可能でしょうか」といった調子で話すと良いでしょう。
興味が無い求人を勧められることがある
転職エージェントは、企業に紹介した人材が採用されたときに報酬を受けとります。
つまり、いくら紹介しても企業が採用しなければ利益は発生しません。
コンサルタントはそれぞれ営業ノルマを抱えていて、1つでも多く内定を勝ち取る必要があります。
そのため、「転職希望者が行きたい企業・就きたい職種」よりも「転職希望者のスキルでも受かりそうな企業・職種」を紹介されることがよくあるのです。
たとえば、「営業経験しかないが、向いていないとわかったので事務職に転職したい」と伝えたにもかかわらず、紹介されるのは営業の求人ばかりといったことがあります。
受かる可能性が低い案件を紹介してさんざんサポートした挙句、採用されなければ報酬も得られずすべて無駄に終わってしまうからです。
あまりに興味のない求人ばかり紹介するようであれば、担当者をかえてもらうか、そのエージェントの利用を控えた方が良いでしょう。
エージェント経由での求人を行っていない企業がある
採用活動の手段として転職エージェントを利用すると、費用がかかります。
年収500万円の人材を採用した場合、紹介料として転職エージェントに支払う金額は約150万円ほどになることが一般的です。
このようなコストがかかるのを避けるため、転職エージェントを利用せず、転職サイトや自社の公式サイトに求人情報を出して採用活動をする企業もあります。
とくに、中小企業やベンチャー企業に多いです。
志望企業が転職エージェントを利用していなければ、応募もできません。
直接応募の2つのメリット
直接応募にもいくつかのメリットがあります。
ここでは、具体的な2つのメリットを紹介しましょう。
- エージェント経由での募集を行っていない企業にも挑戦できる
- 転職活動期間が短くて済むこともある
エージェント経由での募集を行っていない企業にも挑戦できる
中小企業やベンチャー企業などは、採用活動をするにあたって転職エージェントを利用していないことも多いです。
そのような企業に興味がある場合、転職エージェントを利用するとかえって応募の幅を狭めかねません。
直接応募であれば、何のしばりもなく挑戦することが可能です。
企業側も、自社に興味を持ち自分で応募してきた応募者に対して好印象を持つ傾向があります。
転職活動期間が短くて済むこともある
転職エージェント経由の転職活動は、ひとつのステップを進むのにも時間がかかります。
これは、自分と企業の間に転職エージェントが入ってやり取りをするためです。
たとえば、面接の日程を調整する場合、コンサルタントが企業に面接日程を聞いて応募者に空いている日を確認し、また企業に連絡をいれる流れとなります。
その場ですぐに連絡がつくとは限らず、面接の日程を調整するだけで数日かかることもあるでしょう。
一方、直接応募の場合は、応募者と企業の担当者がじかに話すため、比較的すぐに日程を決められます。
応募した日にすぐに連絡がきて面接日程を決め、面接後すぐに連絡がきて転職が決まるというように、非常に短い期間で転職に成功することもあります。
直接応募の2つのデメリット
直接応募にもさまざまなデメリットがあります。
ここでは、主なデメリットを2つ紹介します。
- 年収などを企業と直接交渉しなければならない
- 面接のフィードバックが受けられない
年収などを企業と直接交渉しなければならない
転職する際は、給料や休日などの雇用条件は特に確認すべき重要なポイントです。
転職エージェント経由であれば、このような事項は担当者がしっかり確認して伝えてくれます。
企業側と交渉してより有利な条件を引き出してくれることも珍しくありません。
一方、直接応募の場合は、自分で確認し、ときには自分で企業に交渉する必要があります。
しかし、これから働く可能性のある企業と交渉することを気まずく感じる応募者は多いです。
そのため、企業に提示されるままの条件で内定を承諾してしまう応募者も意外と多く見られます。
交渉次第で待遇が良くなることもあるだけに非常にもったいなく、直接応募の大きなデメリットといえます。
面接のフィードバックが受けられない
転職活動では、面接で手ごたえを感じたにもかかわらず、なぜか落ちてしまうことがしばしばあります。
このとき、転職エージェント経由であればフィードバックが受けられ、何が悪かったのか、どう改善すべきかを知ることが可能です。
一方、直接応募の場合は企業からのフィードバックなどはありません。
電話で問い合わせたとしても、落とした理由を教えてもらえることは非常にまれです。
自身の良い点も悪い点もわからないため、次の面接に活かすことができません。
次も同じ理由で落とされる可能性が高く、転職活動が長引いてしまうことがあります。
転職エージェント利用の注意点
転職エージェントはうまく活用できれば転職活動の強い味方となりますが、注意すべき点もあります。
特に注意したいのが、希望とは合わない興味のない案件ばかり紹介されるケースです。
転職自体を迷っている段階にもかかわらず、強引に就職させようとすることもよくあります。
これは、転職エージェントが報酬を得るためには企業に紹介した人材を採用してもらう必要があり、コンサルタントにはノルマが課されているからです。
コンサルタントは営業トークがうまいため、言葉巧みに勧められて意にそわない転職をしてしまうことになりかねません。
どのような業界、職種に転職したいのか、ゆずれない条件は何かなど、自分の考え、意思をしっかり持つことが大切です。
直接応募の注意点
最近は、企業の採用ページや転職サイトの求人情報ページから簡単に応募できるケースが増えています。
そのため、あまりよく知らない企業でも、とりあえずと軽い気持ちで応募しがちです。
人手不足に悩む業界や中小企業などでは、とんとん拍子に話が進んであっさり内定がでることがあります。
しかし、もともと軽い気持ちで応募した企業の場合、内定を辞退したいこともあるでしょう。
転職エージェントが間に入っていればコンサルタントが断ってくれますが、直接応募の場合は自分で内定辞退したい旨を伝えなければなりません。
直接応募する際は、慎重に検討してからにしましょう。
転職エージェント経由・直接応募のメリットを活かすことが大切
転職エージェント経由での応募も直接応募にも、メリット・デメリットがあります。
第三者の視点からアドバイスが欲しい、企業との交渉も任せたい人は転職エージェントの利用が適しているでしょう。
ただし、興味のない求人を勧めてくることがあるため、自分の意志をしっかり持っておくことが大切です。
ベンチャー企業など転職エージェントを利用せず採用活動を行っている企業を目指している、自分のペースで転職活動を進めたいといった人は直接応募が向いています。
転職エージェント経由と直接応募のそれぞれのメリットを把握し、うまく活かして転職を成功させましょう。